2014年6月29日日曜日

【鈴鹿】東多古知谷右股

【 日 付 】2014年6月29日(日)
【 山 域 】 鈴鹿 御在所岳南面
【メンバー】 りゅうさんとの二名
【 天 候 】 晴れ
【 ルート 】 百間滝橋9:00~東多古知谷~11:30右股~12:20一の谷新道~13:30山頂~望湖台~表道~15:00百間滝橋

 いよいよ、沢の季節がやってきた。
 29日の日曜日は週初めの予報では雨模様で、自宅でゴソゴソかなぁと思っていたのだが、りゅうさんからの「好転してきそうなので東多古知どう?」などという腰を浮かせるメールが飛び込んできた。
 「ありゃ?今年の名コンビ(迷コンビ)の初沢の予定は元越谷でまったりと、じゃなかったんかいな?」まあいいや。
 
 昨夜は菰野、四日市あたりは土砂降りだったようで、水量が気になったが、いざ東多古知の堰堤を見ると案の定、堰堤の途中からも水が噴き出していた。
 堰堤の内側で身支度を完了してF1に取り付く。ありゃ体が重い。体が上がらないよ。キレがすこぶる悪し。水も板状に落下してるし。
 F1は顕著なチョックストーンの滝だったが砂でもつまったのか,様相が変わってきている。

 F4 18mは途中の木に「ヘ」のじ上にひっかかった流木にランニングビレイをとる。僕は滝下でビレイする。ここは滝の落ち口あたりがスラブ状で流量が多いともっていかれそうになるし、ちょっとした緊張する部分が最後にくるので、上がりきるまで油断ができない。
 もう少し下の部分でもう一か所ランニングビレイがとれれば、気分的に安心感が増すので次回はそのあたりも探しながら登ってみようと思う。


 今日のF5百間滝は水量が多く豪快であった。ここでしばしルートの研究。これも恒例作業。
 テラスまではフリー、そこから1本か2本オーバーハングの部分は人工登攀でアブミがいるだろうな~と。次は右の小ルンゼを1ピッチ。そのあと・・・・・・・・右の巻道に逃げて終了。
 とつぶやいたら、そのあと滝を横断して左側から攻める。とりゅうさんが言ってきた。「ただし水量の少ない11月!」が付け加えられた。
 まあ、現実的な話はさておき、滝を見ながら20分ほどああでもないこうでもないと・・・・ある意味こんな楽しめる滝もない。
 10年ほど前に鎖を垂らして登ったことがある。きわどいところはこの鎖の穴にフィフィをかけてアブミ2個で交互に登り切ったことがある。
 今考えれば準備に相当な時間と経費が掛かっていたんだと思う。


 百間滝の左岸を巻く。なんかいつもルートが違うように思うが、一番巻きやすいルートはどこなんだろうか。
 上部ナメの左岸にササユリを見つけた。久しぶりのササユリとの出会いもいいものだ。愛らしい可憐な花を一輪咲かせている。


 水量が多いのでナメもいい感じで遡行できる


 もう一つの核心部F7 15m が上部に見えてきた。
 20mロープをダブルでセット。アンカーにハーケンを使ってみる。適当な岩のクラックにハーケンを打ち込んだが、いつもやらないことをやると、いろいろ後になってトラブルがあるのがわかってくる。
 今日は水量が多いので流心に手を突っ込むのに難儀だし、もたもたしていると雨具を着ているとはいうものの、どんどん体温を奪われて体が冷え、手も水に入れられなくなってくる。
 そんなこともあって、いつもとは難易度の高いルートを強いられるので、本日久々に駆使したのがナッツセットだった。
 ランニングビレイにハーケン3本、ナッツ2か所の5か所のベタ打ちでこの滝を突破した。


 アンカービレイにハーケンを使ったので、上部のリングボルトに20mロープでは届かなくなった。要するにいつもより下部でのビレイとなってしまったのだ。
 「いっぱい!」という僕のコールも水音にかき消されそうだったが、それでもさすがにりゅうさんである。臨機応変に上部にナッツ2か所の分散流動で終了点を設置していた。
 
 あとでいろいろカムを使ったらどうだとか話してみるのだが、沢ゆえにドライな岩と違って高価なギアのメンテナンスもスキルの中に追加されてくるのが躊躇する部分ではある。
  
 今回は持参したアブミの出番はなかったが、いざとなったらいつでも使うという意識もどこかに持ちたいものだ。

 やがて二股に着いた。ここは通常ルートは左股を進むのだが、今日は二人とも未突入の右股を行こうと決まった。

 すぐに10mほどの滝が目の前に現れた。右側にクラックを持った上を流れが勢いよく走る、いかにもホールド、スタンスに乏しそうな斜瀑だ。
 しかも水のない岩の滑り台は薄い泥をつけたヌメヌメだった。


 しばし攻略法を検討するが、意外にあっさりと「巻き!」という結論に達した。右岸を見ればしっかりと踏んだ跡がついている。通常は巻きなのかな。


 巻きでおそらく小滝もまとめて巻いているのだろう。それにしても巻きといってもきわどい巻きでちょっとした一歩にもビビりが入る。地表に現れた小さい木の根の強度を確かめてつかみながら一歩ずつ巻き上がる。
 
 やがて谷はガラガラの浮石だらけの岩屑の谷と様相が変わってきた。ふと見上げると、なんとそこには割と新しいお地蔵さんが・・・・・。
 間違いなくこの場所で亡くなった人の供養のためのお地蔵さんなのであろう。
  まさか東多古知谷の上部にお地蔵さんが祀ってあるとは思わずに何とも言えない気持ちになった。こんな場所で遭難死するいきさつとは何であったのだろう。迷 い込みか、岩崩れに巻き込まれたか・・・・。 場所的には一の谷新道から100mほど下部だろうか。冥福をお祈りした。


 やがて水流も消え、懐かしい笹のやぶ漕ぎで一の谷新道の登山道に飛び出した。
 一度は入ってみたかった右股だが沢登りは断然左股のほうが洗練されている。そんな結論に達した。もう、右股に入ることはないだろう。

  アゼリア前の広場で昼食とした。おしゃれな若い登山者に混ざって我々のいでたちは安物のカッパにジャージと地下足袋である。実に異様な光景であっただろ う。しかもりゅうさんはadidasの地下足袋なんぞ履いているので、ますます異様である。この前はマムートの軍手をしていたような気がする。


 昼食後にスキー場のおしゃれな緑の丘を越えて、三角点、望湖台へと足を向ける。このあたりから我々名コンビの真骨頂が発揮される。

 アベックの山ガールのほうにチャチャをいれたり、山ガールだけのパーティーであれば声をかけて冗談など言いながら追い抜いていくことが多くなってきた。
 これも御在所の重要な楽しみの一つである。最近はこんなふうにして下山するのが恒例になってきた。

 表道をガンガン下り百閒滝展望地でもう一度攻略法のおさらいをして、三ツ口谷堰堤前の駐車地に帰着した。今年は何回沢に行けるかな?
 日本の夏、沢登りの夏は大好きな東多古知が外せない。

0 件のコメント: