2013年9月15日日曜日

幌尻岳遭難に思う

知人が遭難したと聞いた。
幸い一夜を山中で明かしただけで、ヘリによる救出で事なきを得たようである。
詳しいことはわからないが、思ったことを書いてみようと思う。

以前はよく一緒に出かけた仲間であるが、その頃から多くの問題を抱えていたように思う。
まずは普段から使っているリュックのあまりに小さいことが気になっていた。

要するに装備不足が一目瞭然で、普段からの山岳会での指導はどうだったのか。もちろん本人が聞く耳を持たないとか、認識不足であれば山に登る以前の問題である。
単独行であったと聞いたが、北海道の百名山ではむつかしい部類に入る幌尻岳への計画に無理がなかったか?
自分のレベル以上の山に挑んだのではないだろうか。

ましてや戸蔦別岳への周回などという計画となれば、本土の百名山にあるような一般道ではない沢を下るという状況は予想して、準備、覚悟はしていたか。

我々が幌尻岳~戸蔦別岳に行った時も、事前に鈴鹿の愛知川で沢くだりの予行演習をしてから臨んでいる。

北海道の山行でかつて所属していた山岳会でトムラウシ縦走で死亡遭難が発生したのときのことを思い出した。

特に60歳過ぎてくると、「せっかくここまで来たのだから。」「次はいつ来れるかわからない。もう来られないかもしれない。」
北海道の山の遭難の大きな原因がここにある。

俗に山は逃げないとは言うが、年齢的、体力、技術的自己の方が壁にぶち当たってきたのなら、そのことに早く気づくべきである。

こうなったら、山をやめるべきである。山をなめると必ずしっぺ返しが来ると思う。
そもそも、人に迷惑がかかるような登山はするべきではない。

自分にあった山行き、このことをもう一度よく考えてみる必要があるのではないだろうか。
特に単独での山行で、地図読み、現在地の把握に自信がない者は、周回コースは選ぶべきではない。まずはピストンから始めるべきである!
これがバリエーションを含んだ登山の鉄則である。

最近百名山あたりの山の雰囲気がガラッと変わってきた。
中高年が激減して、若い世代がどんどん山に入るようになってきた。世代交代が始まっている。
山も華やいだが、大きな落とし穴が出来つつあると思う。

彼らはメイン登山道しか歩かない。
御在所で言えば裏道と中道しか歩かないのだ。

一歩奥や脇ルートに入ると踏み跡がどんどん薄くなってきているように思う。
これは百名山になってくるとますます顕著になって来ているような気がしてならない。

今回の遭難は単独行の是否以前に、自分の実力以上のことをしたのが一番の原因であると思う。

女性の自立した登山。これを願ってやまない。
このことはレベルがどうのこうのという問題ではなく。自分の力量を客観的に見えて判断、行動できるということではないかと思っている。

山岳会がどのような対処をするのか知らないが、会の内部会員への精査、事故報告はもちろんのこと、県岳連への報告などしっかりとやるべきだろう。
山岳会として反省や今後へ活かすこともなければ体をなさないただの集団である。

落ち着いたら、一会員の単独無届け山行とはいえ、公的、私的機関にかかわらず、救助に当たった諸機関へのお礼など、本人はもちろんのこと、会として動かねばならないだろう。



今度の件については僕自身への教訓としても重く受け止めておきたいものである。

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