2013年12月8日日曜日

矢原川左股右岸尾根を行く

【日時】2013/12/8 晴れ
【メンバー】浦川さん、藤井
【コース】坂本~茶畑跡~西岨(ニシソバ)~不動明王祠~法印のコバ~上不動滝~定穴~茶畑跡~坂本

あれは10年程前だったろうか、単独で矢原川の滝の巻き道を左岸に取り、どこかで右岸に渡り、尾根上へ向かう踏み跡をたどった場所に、洞穴がありその中に安置されている石仏にドキリとしたのは。この場所が定穴であることを後から知った。
その場所の上だったのか、下だったのか、野登山が望める岩場で足元に梵字で大日如来の文字が彫られており、これまたドキリと足を引っ込めた。

そんな思い出をたどりながら矢原川左股の右岸にある、西岨(ニシソバというらしい)462.1m三角点を踏んで不動明王祠までの尾根道の計画を立ててみた。

坂本の棚田の公共駐車場に駐車する。
矢原川の林道に向かうと2年前にはなかった獣除けの檻状のゲートができていた。これを開けて林道を行くと茶畑までの一か所斜面からの崩落で道が埋まっていた。

茶畑は何年も放置されているのかますますジャングルになってくる。
朝早く目が覚めて「ラジオ深夜便」を聞いていると今日の花はお茶の花であった。そんな放置されて伸び切ったお茶の木だがまさに白い可憐な花をつけていた。初めて見るお茶の花に可愛らしさを覚える。

お茶畑から矢原川の流れを渡り対岸の斜面に突っ込む。薄い踏み跡なのか、けもの道なのか、そんな斜面を高度を上げていくと茨のバリケードにつかまった。


 今日はのこぎり持参である。久しぶりの装備であり、出発時には笑っていた浦川さんもこの場所でのこぎりの威力を知ることになるのだ。

一汗かいて西岨についた。意外にも山頂プレートが3つほどある。三角点マニアはここにもいたようだ。

どうも石谷川のほうから上がるか、尾根の末端あたりから上がったほうが簡単なのかもしれない。

ここからの尾根は、一般登山道の中で鈴鹿では難ルートと言われている仙ヶ岳南尾根に続いている。
とりあえず石谷川イタハシ谷登山道から尾根に乗り越す場所にある不動明王の祠まで 尾根通しで行ってみることにした。

尾根は高度を増すにつれて痩せ尾根になったり、岩峰が現れたり、アップダウンもあり、急降下の尾根取りがわかりにくかったりして、なかなか厳しい尾根ではあるがルートファインディングが実に面白いコースである。


やがて大岩の下にたどり着いた。これが不動明王の祠の大岩であった。

さて、これをどう乗り越えるか。

まずイタハシ谷側の北に回り込んでみる。テラス状の足元はスパッと切れている。
岩の高さは4mほどの高さはあるだろうか。
ちょっとしたクライミングの世界であるが、ここは最後の手段。確保は二人なので何とかなりそうだ。
頭上にはなぜか「交通安全」ののぼりがあざ笑うようにはためいている。
とりあえずもっと簡単にアプローチできる方法はないものかと、いったん南の斜面に下りてみる。
斜度はかなりあるが、法印のコバ方面に下りるルートに合流できないかとたくらんだ。
ごくごく薄い踏み跡をロープを張りながら慎重にトラバースすれば、なんとかルートに合流完了することができた。

不動明王にお参りをして岩の上部の仏像とご対面。ここでランチとした。

仙ヶ岳南尾根を若いペアの登山者が「ここ面白いね!」と言って登っていく。我々は彼らの眼中には全く入ってないようだ。
ここからふりかえれば茶畑や西岨が見える。


一息入れて法印のコバへと下る。
固定ロープを何本つかんだだろう。かなりの急降下だ。
法印のコバに着くと荒れつつある石仏が数体佇んでいる。

それぞれの石仏の名前は知らないが、向かって一番左の炎のような形をした石は不動明王を表しているのではないかと勝手に思っていた。
それが今日はどうだ、前のほうに転倒しているではないか。
直すべきか・・・。う~~ん悩んだ挙句そのままにすることにした。これが心残り。またの機会がきっとある。と自分で納得する。

今日は基本的に矢原川左股の右岸を行こうと決めていた。
右岸を行くと鈴鹿最大の滝と言われる下不動滝は完全に巻き道となり、お目にかかれない。
しかしながら、思うにこの右岸の道が坂本の村人の参拝道ではないかと思っている。
なぜなら、ところどころ崩落してしまってはいるものの、道が整備されているように思うからである。
上不動滝の滝の岩盤には左右両方に不動明王像をまつったといわれる、30cmほどの穴がある。
ここへのアプローチは右岸から。

そして上不動滝から少し下るとやはり右岸側に定穴への道が現れる。
(余談だが鈴鹿ハイキングクラブのHPにある絵地図は定穴の位置が間違っている)
この定穴は高さ1m、奥行き2mほどで修験道の行者が入定した場所とか、行者像がまつられているとかいろんな文献やレポートがある。
しかしながら、あくまでも自分の意見なのだが、どう考えても、どう見ても、ここに祀られている石仏の顔が優しすぎる。まちがいなく女性の仏様だと思う。


かつて初めて定穴に訪れ、その独特な雰囲気に感動して下山したときに、坂本の棚田で働く女性に定穴について尋ねたことがあった。

その女性曰く、坂本のお寺と同じ仏様がお祀りしてあって、村で結婚した新婚夫婦がまず最初に子宝に恵まれますようにとお参りに行ったと聞いた。

まさに胎内仏像の様相で登山関係の書とはえらい違いであるように思う。

僕は定穴の石像は阿弥陀如来像だと確信しているがどうだろうか。
次回はもう少し鮮明に画像を撮ってこようと思っている。

道はやがて植林帯になり茶畑に帰ってきた。

思い返せば、厳しいキレットの尾根や仏像。そういえば途中に表面がおぼろげな古い石像もおかれていた。
不動明王祠、法印のコバ、定穴、痩せ尾根・・・・。
ふと、ここは鈴鹿のパワースポットなのではないかなと思う。
大好きな仙ヶ岳周辺。感謝の思いがわいてきた。

さあ次は梵字をもう一度探しに行こう。

やっぱり今回も仙ヶ岳まで届かなかったか。でも、まあいいや。

鈴鹿のパワースポット仙ヶ岳矢原川流域をたどる。
仙ヶ岳矢原川パワースポット | Garmin Adventures

2 件のコメント:

浦川 恵補 さんのコメント...

 山の起伏を巧みに利用し、恵み与えられた作物で生活の糧を得る。時には力の及ばない自然の畏怖に共同で対峙する。人間の幸・不幸と共に自然に寄り添う人々の信仰と絆が夫々の安置された仏像だったように思える。
密かに守っていこうとする坂本の棚田と仏像は『民話の世界』であった。

匿名 さんのコメント...

浦川さん、こんにちは。
なかなか面白い登山になりましたね。
仏像の種類が諸説いろいろになっていまして、一度しっかりとカメラに収めて検証しようと思っています。
その時はまたぜひご一緒願います。
コメントありがとうございました。